多くの会社がkintoneを導入し、その数だけkintone担当者がデビューを果たしています。私たちも、微力ながらその一部のお手伝いをさせていただきながら、担当者の方々の苦労や喜びを目の当たりにしています。

会社ごとにkintone導入の経緯はさまざまです。いろいろなケースのお手伝いをさせていただく中、特定の目的のために初めからガッツリとカスタマイズを施すケースもありますが、身近な業務改善のために社内でkintoneを活用していこうとしている場合、はじめて運用するkintoneアプリは基本機能だけで構築した方がいいのではないかと個人的に感じています。

その理由を、以下のポイントから考えてみます。

  • はじめはkintoneへの理解が社内に浸透していない
  • カスタマイズすればコスト(時間や費用)がかさむ
  • 改善・改修にもコストがかかってしまう

kintoneへの理解が浸透するまではシンプルがいい。

業務改善に取り組むだけでも社員にとってはストレスです。非効率的であろうが、慣れ親しんだ方法を変えることには少なからず抵抗があります。その上、未知のシステム導入、しかも、聞いたこともない「キントーン」…と社員は身構えます。そういう状況で複雑なアプリを使ってもらおうとするのはハードルが高いと思います。まずは身近な課題解決のためにシンプルなアプリを使ってもらい、社内にkintoneでの業務改善が意味のあることだと実感してもらうことが、先の長い取り組みに対しては有効だと感じています。

「あれもこれも」とカスタマイズすればコストもかさむ。

はじめてkintoneアプリをつくるとき、「より便利に、より機能的に」と思う余りに、あれこれ詰め込みたくなることがあります。特に、パートナーに開発を依頼する場合、素人のアイデアを実装してくれるので、あれもこれも…になりがちです。

カスタマイズを加えれば、当然のことながら費用も時間もかかります。まずは「高機能である方が使いやすい」という思い込みを捨てて、「初めての人も親しみやすいようにシンプルに」という方向性でアプリをつくっていくことが大切だと考えています。

改修にもコストがかかってしまうことが分かって手詰まりに。

担当者きもいりのアプリが社員に受け入れられずポシャることは珍しいことではありません。また、リリースした状態でそのまま運用が続けられることもまずないでしょう。むしろ、運用しながら改善を繰り返すことができるのがkintoneのメリットです。ところが、開発パートナーによってカスタマイズされたアプリは、改修するときにもパートナーの手を借りることになります。当然、費用が発生しますが、実際にはその予算を考えていないケースがほとんどです。外注する予算もなく、自分で改修する技術もなく…そのアプリの末路は言わずもがなです。基本機能で構成されているアプリであれば担当者の手で改修することも容易にできるので、小さな改善を柔軟に加えていくことができます。

システムを活用した業務改善は、その取り組みを受け入れてもらうことが成功の第一歩です。安価でスピーディな開発、手軽かつ柔軟に手を加えられるkintoneの特徴をフル活用するためにも、まずは基本機能でシンプルなアプリを構築することをおすすめします。