小さな会社でkintoneを活用して業務改善に取り組んでいる担当者の方によくみられる悩みとして、「現場の声」への対応があります。

繰り返しお伝えしているように、kintoneは使ってナンボ。開発する側の独りよがりになってしまうといくら素晴らしいアプリを作っても社内に浸透せず、無用の長物となってしまいます。その難しさは多くの事例紹介のなかでも失敗エピソードとして語られています。

やはり、kintoneの開発に、実際に使う現場の人たちの意見は大切です。

たとえば、kintoneへの入力を日々の業務の中に加える際、できるだけシームレスに取り入れられていることが理想で、「わざわざ入力する」とか「面倒な仕事が増えた」といった感情を持たれてしまうと、なかなか運用が進まなくなってしまいます。

ところが、聞いた「現場の声」をそのまま取り入れなければならないかと言うとそうとも言えず、逆に、それが担当者の悩みを深め、失敗の原因になることもあります。

誰でもそうですが、現場の人たちは、基本的に「自分の業務」のことを考えています。どうしても自分にとってプラスかマイナスかというポイントに目が向きますし、そもそも他部署や他者の業務内容や会社全体の課題について把握していないことの方が当たり前です。ですから、そうした「現場の声」を鵜呑みにしてアプリに反映させようとしてしまうと収拾がつかなくなってしまいます。

「現場の声」はひとつひとつが大切な意見です。社内で声の大きな人の意見を無碍にはできない雰囲気もあるでしょう。それでも、課題解決の全体像を把握し道筋を考える担当者としては、大きな視点をもって意見を集約した上で、適切な形でシステムに反映させていく必要があります。

自分より立場が上の人たちを含めた多くの人の意見を集約してコントロールすることは、アプリ開発そのものよりも難しいですが、個別の意見に振り回されてしまい本来の目的を見失うことのないようにしたいものです。