kintoneが事務所の棚?もちろん、比喩として適切だとは全くもって思っていません。それでも無理に言い換えるのは、極限までリアリティのある例えを出すことで、耳をふさいでしまう人たちの固く閉ざした心をほぐすためです。

「私には分かりません」とガードを固めた人に向かって、「データは便利」「データは使い勝手がいい」「これからはデータが重要」と熱弁しても、響かないだけでなく、こちら側が疲れてきます。ムダに苛立って軋轢を生んでしまっては本末転倒ですから、焦らずゆっくりと懐柔していきましょう。

事務所でデスクの引き出しや周りにある棚。そこにあるファイルや書類。「データ」のイメージが湧かない人にも、普段の仕事に置き換えると自然と頭の中に絵が浮かびます。

頭の中で、わけの分からないものとされていた「データ」が馴染みのある「書類」に置き換われば、少しずつ話を聞いてもらえるようになりコミュニケーションの土壌ができます。

データと書類の違いは、業務の中で実感できればいい。

長年に亘って慣れ親しんできた方法を変えることには不安があって当然です。それは単に変化を嫌うといったことだけでなく、業務が滞ってしまわないか、不慣れが原因でお客様に迷惑を掛けてしまわないか、といった心配もあるわけです。

ですから、古くからある小さな会社などドラスティックに変化させられない会社は、従来の手法に少しずつシステムを取り入れ、実際の業務の中で便利さを感じ、小さな感動を積み上げながら進めていくといいでしょう。先を急ぎすぎて最初に立ちふさがる壁を前に諦めてしまうのはもったいないですし、社内の雰囲気や人間関係を壊してしまっては本来の目的とは真逆の結果になってしまいます。

アナログからデジタルデータへの移行は、業務効率化に欠かせない時代に流れです。正論で推し進めるだけでなく、回り道でも社風や働く人たちにあわせた進め方をするのもひとつの選択です。