コロナ禍で流行った「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉。当初「ディーエックス」と読んでしまって恥ずかし思いをした人もいるかもしれませんが、いつの間にかメディアにでてくるその道の人たちは普通に「ディーエックス」と言うようになりました。「デジタルトランスフォーメーション」って長いし分かりにくいですからね。カッコつけてもメンドクサイことは続きません。

さて、なんだかんだ言いながらオリンピックがはじまり、純粋なアフターコロナ(あるいはウィズコロナ)の社会に向かおうとしているように感じるこの頃、皆さんの会社はこのコロナ禍で生まれた気運や機会をものにして変化・進化できていますでしょうか。

会社に新たなシステムを導入すると視点で考えると、「どの業務をシステム化するか」「どのように業務を効率化させるか」という思考になりますが、上手にシステムを活用している会社の事例を見てみると、「会社がどんな状況になったらうれしいか」「どうなるとシゴトがより楽しくなるか」という視点が加わっていると感じます。そして、それこそがDXの本来の意味でもあります。

時代にそぐわない非効率でめんどくさい業務をなくすことは、誰にとっても望ましいことだと感じますが、実はその旧態依然とした業務スタイルだから存在価値を発揮できる人たちがいます。その存在がIT化やシステム化を阻む壁になってしまうことがあるのですが、そうした人たちを否定するのではなく、会社やそこで働く人、さらには顧客も含めて「うれしい状況」「楽しい状態」はなにかを求めて実現していくことが大事なことだと思います。

酷暑の夏、汗だくになりながら満員電車に揺られている自分のことを考えてみてください。それはうれしい状態ですか?楽しいことですか?仕事のためだから仕方がないことですか? その考えから抜け出して、「デジタルを活用すればよりよい状態をつくることができる」という発想で行動することがコロナ後の私たちにとって当たり前になることを願っています。