こんにちは、広報のなべです。

販売業・サービス業に携わられている方は既にご存じの方も多いかと思いますが、総額表示義務が今年の4月からスタートすることになりました。これは実店舗だけでなく、ホームページやネットショップ(ECサイト)にも適用されます。
皆さま既に準備は済んでいらっしゃいますか?

この記事を書いているのが2021年3月11日なので、のこり20日で価格表示の見直しが必要になります。

準備ができていない方・準備したけど自信が無い方・そもそも総額表示義務が何か分からない方は、記事を参考いただければ嬉しいです。

総額表示義務ってなに?

総額表示義務とは、

  • 値札
  • チラシ
  • ポスター
  • ホームページ
  • 広告

など、上記のような「不特定多数の消費者が目にする媒体」へ価格を表記する際、税込価格を記載すること義務付けた法律のことです。

総額表示義務はなぜ必要?

価格が一目で分かるようにする

例えば100円ショップは「全品100円」と謳っていますが、実際は110円で販売しています。

このように表示されている価格と実際に支払う価格が違っていると、消費者が分かりにくくなってしまいます。
100円のようにキリが良い数字であれば簡単に計算できますが、123円のような端数が出てしまうと瞬時に計算しにくい為、実際に支払う金額がすぐ分かりません。

しかし総額表示にすれば価格を計算する必要がなくなる為、消費者がスムーズに買い物を出来るようになり料金に関するトラブルが減らせます。
また、複数の店舗でサービスや商品の購入を検討する場合、一律して税込価格なので比較しやすくなるメリットもあります。

実は以前から総額表示義務はスタートしていた

そもそも2004年4月から総額表示は義務化されていました。
しかし、いきなり義務化が始まると事業者に大きな負担がかかってしまいますし、消費税率が上がった場合、事業者は二転三転と手間が掛かってしまいます。(消費税率が8%から10%に変更された時など)
そこで政府は2021/3/31まで総額表示義務と同時並行で「消費税転嫁対策特別措置法」として事業者に猶予を設けていました。簡単に言えば準備期間ですね。

表示例

良い例

基本的に税込価格(総額)を表記していれば問題ありません。

媒体によってさまざまな表記ができます。例えば余白が狭い範囲(値札やラベルなど)であれば総額だけの表記で構いませんし、余白が広い場合(ポスターやホームページなど)は税抜価格を別記すると消費者に親切です。

総額(税込み)で表記する11,000円
税込みであることを別記する11,000円(税込)
税抜価格を別記する11,000円(税抜価格10,000円)
消費税額を別記する11,000円(うち消費税額等1,000円)
税抜価格と消費税額を別記する11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
税込価格を別記する10,000円(税込価格11,000円)
税込みであることを一括りに表記している※価格はすべて税込みです
▲良い表記例

悪い例

税込価格(総額)が表記されていないと違反の対象になります。
また、税込価格を別記していても、消費者が見にくいと感じれば違反の対象となりますので、不明瞭な表記は避けましょう。

税抜価格のみの表記している10,000円
税抜きであることを別記している10,000円(税抜)
プラスマークでの税別表記10,000円+税
税抜きであることを一括りに表記している※価格はすべて税抜です
▲悪い表記例

ホームページへの価格表記について

ホームページやネットショップ(ECサイト)は全てのユーザーが見ることができるので、表示されている価格はすべて総額表示義務が適応されます
また、インターネットに広告を出している場合や、ダイレクトメールを送る場合も不特定多数の人が閲覧できるので義務化の対象となります。

※ECサイトと同時に実店舗を運営されている場合、消費者に渡すレシートも総額表示義務が必要になるのでご注意ください。

対象外の場合はあるの?

総額表示は小売り段階の価格表示をする場合、すなわちBtoCのような一般消費者への販売の場合に適応されます。
BtoBのような事業者間・法人同士の取引など、「特定できるユーザーや少数のユーザー」へ販売する際の表示は義務化の対象外となります。

その他、特例措置に関する事例はこちらをご覧ください。

違反した場合の処罰や罰金はある?

現在、総額表示を怠った場合の罰金や処罰は特にありません。
しかし法律として義務付けられている以上、いつかは罰金が発生する可能性もあるので、遅かれ早かれ対応した方が良いでしょう。

まとめ

総額表示義務は消費税への抵抗や煩わしさを減らし、消費者が快く買い物をするためにできた法律です。

商品をたくさん販売されている事業者様にとっては手間のかかる作業になるかもしれませんが、対象となる事業者様は変更を忘れないようご注意ください。

違反によるまだ処罰はありませんが、あくまで法律ですのでお早めに総額表示への変更をしましょう。

追記(2022年6月8日)

消費者に対して商品やサービスを販売する場合は総額表示義務が適応されますが、事業者間での取引(BtoB)では義務付けられません。

たとえばメーカーや卸業者が、別の企業や事業者向けに作成したカタログ・見積書・請求書等には、総額表示義務は適応されません。

ただし事業者向けに商品やサービスを販売している場合であっても、消費者が参加でき、かつ消費者に向けて広告や販促活動をしている場合は、総額表示義務が適応されるのでご注意ください。