Google Workspaceに承認フロー機能はある?標準機能でできることと自社で作る方法を解説

Google Workspaceの承認フローは作れる?標準機能の範囲とGAS・AppSheet活用法を解説する見出し画像

「サイボウズオフィスのような承認フローが、Google Workspaceにもあるのでは」。他システムからの移行を検討する経営者から、こうした質問をいただくことがあります。

結論からいうと、Google Workspaceには申請から承認までをオンラインで完結できる標準機能があります。ただし、複数の部署をまたぐ複雑な承認ルートまではカバーしていません。この記事では、標準の「承認」機能でできること・できないことを整理したうえで、複雑なフローが必要な場合の現実的な選択肢を解説します。

目次

Google Workspaceに標準の「承認」機能はある

Google Workspaceには「承認」という名称の標準機能があり、ドライブ・ドキュメント・スプレッドシート・スライドから直接使えます。ファイルの内容を確認してもらい、承認・却下・フィードバックを受け取るという一連の流れが、エディタ上で完結する仕組みです(Google Workspace管理者ヘルプ)。

注意したいのは対応エディションです。Business Starterプランは対象に含まれていません。利用できるのはBusiness Standard・Business Plus・Enterprise各エディション・Education Plusなどに限られます(Google Workspace管理者ヘルプ)。他システムからの移行時にBusiness Starterのまま契約している場合、承認機能自体を利用できません。

補足:管理者による有効化が必要

対応エディションであっても、初期状態では無効になっている場合があります。管理コンソールの「アプリ」→「Google Workspace」→「ドライブとドキュメント」→「承認」から、組織部門やグループ単位で有効・無効を切り替えられます。

承認機能でできること

使い方はシンプルです。ファイルを作成した本人が承認をリクエストすると、承認者に通知が届き、画面上のボタン一つで承認・却下・フィードバックができます。

STEP
承認をリクエスト

対象のファイルを開き、サイドバーから承認者を指定してリクエストを送ります。期限の設定も可能です。

STEP
承認者に通知が届く

メールまたはドライブの通知で、承認者にリクエストが届きます。

STEP
内容を確認して判断

承認者は上部のバナーから「承認」または「拒否」を選び、メモを添えることもできます。

STEP
履歴として記録される

承認済みの版と、誰がいつ承認したかという履歴が残り、あとから確認できます。

承認者は複数人まとめて設定でき、全員が承認して初めて完了する「並列承認」にも対応しています。承認待ちの間もファイルは既定でロック解除されており、編集やコメント・提案は引き続き可能です(Google Workspaceヘルプ)。

こんな場面で使える

難しい設定が要らないぶん、次のような「1つのファイルを、決まった人に確認してもらう」場面と相性がよい機能です。

  • 企画書や提案書を、上長に最終チェックしてもらってから提出する
  • 社内マニュアルや規程集の改訂内容を、担当部署に確認してもらう
  • 契約書の下書きを、確定前に関係者へレビューしてもらう
  • 議事録や報告書を、関係者全員に目を通してもらってから共有する

共通しているのは、承認する相手があらかじめ決まっている業務であること。追加のツールを契約しなくても、Google Workspaceのアカウントがあればすぐに試せる手軽さが魅力です。

標準機能だけでは対応できないケースもある

一方で、公式ヘルプを確認しても、金額に応じて承認者を自動的に振り分けたり、部署をまたいで何段階も承認ルートを進めたりする機能についての記載は見当たりません。設定できるのは、あくまで「同じファイルを複数人が確認する」並列承認までです。

実際、この機能を扱う検索上位の解説記事の多くも、条件分岐や代理承認への対応を標準機能の限界として挙げています。稟議書のように金額や部署によって承認ルートが変わる業務には、そのままでは向いていません。

承認者が不在のときに別の人が代わりに承認する「代理承認」も、標準機能の説明には出てきません。休暇中の上長を承認者に指定してしまうと、業務がそこで止まってしまう可能性がある点は覚えておいてください。

そもそも、サイボウズオフィスの承認フローとは仕組みが違う

サイボウズオフィスの「ワークフロー」機能は、申請の種類ごとにあらかじめ承認ルートを設計し、金額や部署に応じて自動で分岐させる、業務プロセス管理のための仕組みです。一方、Google Workspaceの「承認」機能は、あくまで1つのファイルを指定した相手に確認してもらうためのシンプルな機能です。

同じ「承認」という言葉を使っていても、想定している用途の幅が異なります。他システムから移行する際は、この違いを理解したうえで、標準機能で足りる業務と、別の方法が必要な業務を切り分けておくと混乱を避けられます。

【現場の実感】サイボウズオフィスからの移行相談で見えてきたこと

WEB事業部

サイボウズオフィスから移設のご相談をいただいたお客様に、日本の商習慣に合わせた稟議・経費精算の承認フローを、Google Workspaceでも再現できないかと聞かれたことがあります。調べた結果、同等の機能は標準では用意されておらず、当社で活用しているGASベースの承認機能をお見せして対応しました。

当社が実際に使用している稟議申請フォームの画面キャプチャ。申請理由・添付ファイル・種別・備考の入力項目がある
実際に当社で使用している稟議申請フォームの画面(一部の項目・データはマスキングしています)

稟議申請や経費精算のような、複数ステップを踏む承認フローは、標準機能の範囲を超えます。具体的な構築方法は情報量が多いため、別の記事で改めて詳しく紹介する予定です。

複雑な承認フローが必要なら、GAS・AppSheetでの自作という選択肢

追加のライセンス費用をかけずに複雑な承認フローを実現したい場合、多くの企業がGoogle フォーム・スプレッドシート・Google Apps Script(GAS)を組み合わせて自作しています。フォームで申請を受け付け、回答をスプレッドシートに蓄積し、新しい申請があったタイミングでGASが承認者へ通知メールを送る、という仕組みです。承認・却下の結果はスプレッドシート上のステータス列で管理でき、金額や部署に応じて通知先を振り分けるといった条件分岐も、GAS側の処理として組み込めます。

もう一つの選択肢がAppSheetです。スプレッドシートのデータを土台に、プログラミングの知識がなくても申請アプリの画面を作れるノーコードツールで、Business StarterやBusiness Standardを含む多くのエディションで追加費用なしに使えます(Google Workspace公式ヘルプ)。GAS・AppSheetを使った自社ツール開発の実例は、導入事例の記事でも紹介しています。

スクロールできます
GASAppSheet
得意なことメール通知や外部サービスとの連携など、細かい処理の自動化申請フォーム・一覧画面のノーコードでの構築
必要なスキル多少のプログラミングの知識スプレッドシートの操作に近い感覚
向いている使い方既存の仕組みに通知や自動処理を足したいとき申請から承認までの画面を一から作りたいとき

どちらか一方だけを使う必要はありません。AppSheetで申請アプリの画面を作り、通知部分だけGASで補う、という組み合わせ方もできます。

それでも複雑なら、専用ワークフローツールという選択肢

従業員数が増え、内部統制の強化やIPO準備などで承認ルートの厳格な管理が必要になった場合は、kickflowやrakumo、Gluegent Flowのような専用のワークフローシステムへの切り替えも選択肢になります。条件分岐や代理承認、監査ログの管理を、ノーコードの画面から設定できる点が特徴。

ただし、専任のIT担当者がいない中小企業にとっては、月額費用や運用の手間が見合わないことも少なくありません。当社では、まず標準の承認機能で足りるかを確認し、複雑な業務だけGAS・AppSheetで補い、それでも管理しきれない規模になった段階で専用ツールを検討する、という順番でのご提案が多くなります。

自社に合った選び方

3つの選択肢を、費用や向いている企業規模で整理すると次のとおりです。

スクロールできます
標準の承認機能GAS・AppSheetでの自作専用ワークフローツール
追加費用なし(対応エディションなら)なし(学習コストは必要)月額費用がかかる
対応できる複雑さ1ファイルの並列承認まで条件分岐や通知まで柔軟に対応多段階ルート・監査対応も可能
向いている規模数名〜のシンプルな確認業務5〜50名程度で自社運用できる企業内部統制強化が必要な企業

最初から何段階もの承認ルートを組む必要はありません。まずは標準機能を試してみて、物足りなさを感じた部分から自作や専用ツールを検討する、という順番であれば、余計な費用をかけずに済みます。

標準の承認機能・GAS/AppSheetでの自作・専用ワークフローツールの3つの選択肢を、対応できる複雑さで比較したミニインフォグラフィック

まとめ

Google Workspaceには、1つのファイルを複数人で確認する標準の「承認」機能があります。ただし対応エディションはBusiness Standard以上に限られ、条件分岐のある複雑な承認ルートも対象外です。

稟議申請や経費精算のように複数ステップを踏む業務には、GAS・AppSheetでの自作、または専用ワークフローツールの導入を検討してください。どこまでを標準機能で済ませ、どこから手を加えるべきか判断に迷ったときは、お気軽にご相談ください。

Google Workspaceの疑問・不安を解決

お客様の課題に合わせて、最適なサービスをご提案します。

当社スタッフの打合せ風景

まずはサービス内容を
ご確認ください。

導入の流れ・費用・対応内容など、よくある疑問をサービスページにまとめています。まずは内容をご確認ください。

Google Workspace 導入に関するご相談・お問い合わせ

お気軽にご相談ください。

「どのプランが自社に合う?」「費用はどの程度必要?」「今使っているメールはどうなる?」など、小さな疑問にもお答えします。

当社スタッフの打合せ風景

よくある質問

Google Workspaceに承認フロー機能はありますか?

はい。ドライブ・ドキュメント・スプレッドシート・スライドから使える標準の「承認」機能があります。1つのファイルを指定した相手に確認してもらい、承認・却下・フィードバックを受け取れます。

Business Starterでも承認機能は使えますか?

いいえ。対応エディションはBusiness Standard・Business Plus・Enterprise各エディションなどに限られ、Business Starterは対象に含まれていません。

承認機能でスプレッドシートも使えますか?

使えます。ドキュメントだけでなく、スプレッドシートやスライドからも同じ承認機能を利用できます。

条件分岐のある複雑な承認ルートは作れますか?

標準機能の範囲では対応していません。金額や部署に応じて承認者を振り分けたい場合は、GAS・AppSheetでの自作や専用ワークフローツールの検討が必要です。

GASでの承認フロー構築は難しいですか?

Googleフォームとスプレッドシート、GASを組み合わせる方法が一般的で、ある程度の学習は必要ですが、社内に得意な担当者がいれば追加費用なしで構築できます。具体的な作り方は別の記事で紹介する予定です。

専用のワークフローツールへの切り替えはどんなタイミングで検討すべきですか?

従業員数が増えて承認ルートが複雑になったときや、内部統制の強化・監査対応が必要になったときが目安です。それまでは標準機能やGAS・AppSheetでの自作で十分なケースが多くなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次